自分でフローリング(フロア)を貼ってみよう(準備・基礎知識編)
このエントリーでは一般的なフローリング材を使った「フローリングの施工方法」を書きます。
フローリングを貼る事で部屋が見ちがえるほど綺麗になるのはもちろんの事、床が丈夫になり、敷居との段差が減るなど、メリットはすごく大きいです。
部屋をチェックしよう
まず、フロアを貼りたい部屋をチェックしてください。
フロアを貼る事で、その部屋にある敷居や、ドア、クローゼットなどの下枠の高さを超えてしまわないかをまず見ましょう。
フロアの厚みは基本12mmです(重ね貼り用に6ミリのものもあります)。
フロアを貼った結果、床厚が敷居や枠などを超えてしまう場合は、つまずいたり、ドアやクローゼットが開かなくなったり、不細工になったりするので対策を練りましょう。
部屋の大きさを測る
フロアを貼るには、まずフロア材をどれだけ購入すればいいのかを判断するため、部屋の大きさをざっと測ってみましょう。
フロアは一坪分(たたみ約2畳分)がセットになって売られています。
例えば6畳の部屋だと3坪なので、3セット購入する必要があります。
(たたみは、1.82メートル×0.91メートルとして計算しています)
部屋のタテとヨコを測って面積を出し、それを3.3で割ると、部屋がおよそ何坪なのかがわかります。
買ってきたフロアのセットを見てみると、1820×303のフロアが6枚入っています(2畳分ですね)。
例
タテが4.5メートル、ヨコが5.4メートルの部屋の場合、面積は24.3㎡なので、それを3.3で割ると、7.36坪となります。この部屋の場合、フロアは7セットと少し必要という事になります。
道具を準備する
必要な道具
手ノコ、スケール(メジャー)、さしがね、墨つぼ、ネダボンド&ガン、カンナ、ノミ(八分ノミ)、カッターナイフ、フロア釘、ハンマー、ポンチ、コークボンド、あて木
あれば便利だなぁって道具
尺付きのスケール、胴付きノコ、丸ノコ(電動ノコ)、丸ノコ定規、ノミ(三分ノミ)、トリマー、コンプレッサー&フロアタッカー(これがあればフロア釘やポンチは要らない)、床養生(貼った床の保護)
作業の前に
まず部屋に対して、どちら方向にフロアを貼るのかを決めます。
その判断基準としては、部屋の長手方向にフロアを貼る、というのが一般的かつセオリーです。
が、フロアの上にフロアを貼る、いわゆる重ね貼りの場合は、どちら方向でも構いません。
下地板に貼る場合は根太方向に対して垂直になる方向で貼りましょう。
また、フロアの貼り始めと貼り終い(はりじまい)が楽になるように、巾木を外せるかどうかをチェックします。
巾木を外せない場合、すき間が空かないようにフロア貼りの作業に精巧さが必要になります。
フロアってどんなの?
フロアには、フロア同士をつないでいくための、サネと呼ばれる部分があります。
サネにはオス(凸)とメス(凹)があり、でっぱり部分がオスの「オザネ」、点線部分がメスの「メザネ」です。
フロア貼りでは、オスのサネをメスのサネに入れ込む事で連結していきます。
フロア貼りのざっくりとした流れを知る
まずはフロア貼りの流れについて知っておきましょう。
フロア貼りのざっくりした流れをイメージする事で、迷わず、失敗も少なくなり、作業のスピードが違ってきます。
このエントリーでは、図の上の方からフロアを貼っていく、という設定で解説を進めます。
貼る順番としては、オスのサネを残すように貼っていくのが基本です。(クリックして拡大)
墨打ち
部屋を測って部屋の形を把握し、墨つぼで基準線を打ちます。
この基準線というものは、最初の1列目を貼っていくための線で、この線(墨)に合わせて一列目を貼っていきます。
この線(以下、基準墨といいます)さえ打てたら、床貼り作業の5分の1は終わったようなもんです。
それぐらい、この墨は重要です。
丁寧に解説しますので、ぜひご一読ください。
今から部屋の長手方向に、一列目を貼るわけですが、部屋の形というのは、よく見てみると、たいていは真四角ではなく、ゆがんでいるものです。そして壁はゆるやかな曲線になっています。
図1
ある程度、曲線になっている事は無視して手前の壁から1メートル(1000mm)のところで墨を打ってみましょう。
(これは仮の墨で、基準墨ではないです)
わかりやすく解説するために1000mmとしていますが、200mmでも500mmでもかまいません。
今度は仮の墨(赤線)から反対方向までを測ります。
すると、それぞれ2570mm、2540mmであることがわかりました。
また全体の長さも3570mmと3540mmになり、両辺で30mmも差があることがわかりました。
もし、この仮の墨と並行に貼っていくとすると、30mmバチることになります。
(平行ではないことをバチる、といいます)
ちなみに、フロアの化粧部分は303mmあるのですが、よく見ると4筋に分かれ、
75.75mmずつになっており、合わせて303mmです。
(もちろん他にも色んなバリエーションがありますが4筋で解説していきます)
なので、バチリ30mmというと、じつにフロア1筋の半分近くもバチる事になってしまいます。
今のままでは最後に30mmバチったフロアを貼る羽目になっちゃいます。
仮の墨を基準墨に
そこで、左側の墨を15mm(バチりの半分)押し出す事で、バチりを分散しましょう。
①左側を15mm押し出す事でバチりを分散
②押し出した分、バチりが軽減
③押し出した15mmだけバチる
これで全体的にバチりを分散でき、基準線の角度が決まりました。
左側を15mm押し出せば全体的にうまくいくようです。
フローリングはこの線と平行に貼っていくことになります。
いま割り出した角度で1列目を貼っていきたいのですが、ここで今度は部屋全体で何列貼りなのかを確認しましょう。
図3で、全体の長さが3570mmと3540mmでした。
長い方の3570mmに注目します。
1列(フロアの幅)は303mmなので、この部屋は12列貼りですね。
3570mmを303で割ると11.78になるので12列をちょっとカットする感じです。
今のところ、イメージとしてはこんな感じ。
基準墨と平行に、上から貼ってきた感じです。
次に気にしたいのは、貼り終いがどうなるのかです。
現在、解説中の部屋にフロアを貼っていくと、部屋の左側の貼り終い(最後の1列)は、237mmのフロアを貼る事になりますね。
ということは、貼り終いである最後の列のフロアはこんな形になります。
下側が66mmカットされ、フロアのスジが9.75mmだけ見える状態です。
下図の通り、これは部屋長さが長い方(3570mm)の話で、部屋長さが短い方(3540)に向かうにしたがって、15mmバチっているのだから、この9.75mmのスジは無くなって、さらにフロアが小さくなっていきます。
(12列目は左端237mm、右端は222mmになります)
基本墨じたいが15mmバチっているので、仕上がりが15mmバチるのは当たり前なのですが、最後に細いスジが入ると、部屋のバチりが露骨にわかってしまいます。
このスジがまっすぐな定規みたいなものですから。
お客さんに、「この部屋って歪んでる?」と聞かれてしまう可能性もありますね。
じゃあどうするの?
そこで、解決策として貼り始めの列の幅を少し小さくします。
貼り始めを小さくすると、小さくしただけ、貼り終いの列を大きくできるからです。
(①を小さくする事で、⑤を大きくできる)
1列目を小さくし過ぎると本末転倒になるので気をつけましょう。
この部屋の場合、1列目の幅を33mmカットする事にします。
303ー33で、1列目は270mm、貼り終いは237に33mmを足して270mmとしました。
ちょうど貼り始めと貼り終いの大きさを同じにする事ができました。
貼り始めも貼り終いも、部屋の右側(3540)に向かうにしたがって、15mm少なくなっていきますが、これだけ幅(42.75mm)があれば、バチりは気になりません。
これで1列目の角度(15mmバチり)と貼り始めの幅(270mm)が決まったので、基準墨を打てるようになりました。
基準墨は、列の通りをまっすぐにするために打つので、貼り始めのオザネの位置に打ちます。
基準墨とオザネを上から睨んで(目を通して)、通りを合わせるので、基準墨はオザネの真下を通る墨にします。
オザネは5mmフロアから出ていますので、左側で275(270+5)mm、
右側で260(255+5)mmのところに墨を打ちます。
これが基準墨です。(5mmではないオザネもありますので要確認)
これで基準墨が打てたので準備完了!この墨に沿ってフローリングの1列目を貼りましょう。
次はいよいよフローリング貼り工事になります。
ちなみに、基準墨を打たない場合、通りがガタガタになり、汚い&難しい仕事になります。
この状態で2列目を貼れば更に悲惨な状況になります。
逆に言えば、1列目さえ綺麗に貼れれば、後は綺麗な施工になります。
基準墨と1列目の施工、これがなによりも大切です。
部屋の両端だけを見て基準墨を出し、1列目をカットせずに貼る場合、もし途中の壁が膨らんでいたら、その膨らみの分がすき間になってしまいます。
今回の例でも、途中の壁が膨らんでいたので、もし両端でカットなしの基準墨(303+5)をつけていたら、途中にすき間ができてしまうところでした(クリックで拡大)。
それではいよいよ、次エントリー
「自分でフローリング(フロア)を貼ってみよう(実践編)」で実際にフローリングを貼ってみましょう。