このエントリーはプロに頼む工事の解説をしています。
最近、家が沈んでいってる気がする!?
人間の感覚というものはじつに鋭いものです。8畳くらいの部屋の両端で1センチも水平が違えば、あれ、この部屋傾いてる?と気がつきます。
貴方の家は大丈夫でしょうか。
どうも家が傾いている気がする。
原因は色々とありますが、傾く家の特徴としては、
- 瓦屋根である(屋根が重い)
- 布基礎である(ベタ基礎でない)
ということが挙げられます。
瓦屋根はわかるけど、布基礎ってなんだ?
布基礎とは、それぞれの部分で独立した基礎が家を支える作りです。
それに対し、ベタ基礎は家全体がお盆に乗っているような形です。
布基礎の場合は部分ごとの基礎なので、そこの地盤が沈下するとそのまま家が不同沈下していきます。
(不同沈下とは、家が全体的に沈むのではなく、一部分のみが沈むことをいいます)
不同沈下しやすい布基礎に対し、全体的に支えるベタ基礎は一部分の地盤が沈下しても大丈夫。
経験上、家が傾いていく場合、布基礎が家の重みのために不同沈下を起こしている、というケースがほとんどです。
ベタ基礎の場合、ジャッキアップ工法という手が使えるのですが、布基礎の場合は基礎が一体ではないので一部分のジャッキアップができません。
下手にジャッキアップをすると、基礎が割れてしまう恐れがあります。
なので、傾きつつある家の基礎が布基礎の場合、これ以上沈まないようにする、という工事になります。
この木造住宅の傾きに対する有効な工事として
- 瓦屋根をスレート屋根に変える
- 布基礎にベースを加える
があります。
その1 瓦屋根をスレート屋根に変える
木造住宅というのは元来、重みは大したことないのです。
その底面積に対して、家の重さは、重量鉄骨や鉄筋コンクリート造の家などに比べるとすごく軽い。
なので、ひと昔前には布基礎がスタンダードだった訳です。
ただ、瓦屋根が重い。
不同沈下が始まると、この瓦屋根の重さが家の傾きに拍車をかけてくる、ので、この瓦屋根をスレート屋根に葺き替える、という工事が有効です。
瓦屋根の総重量は何トンもありますので、それを軽いスレート屋根に変えると家はすごく楽になります。
どんな工事になるのか、ざっくり流れを見ていきましょう。
1、足場工事
まず、瓦屋根の葺き替えができるよう、家の周りに足場を組みます。
(規模によりますが足場組立だけで2~3日かかる場合もあります)
足場に、瓦を降ろすための「瓦降ろし機」が設置されます。
ハシゴの横がレールになっており、モーターでワイヤーを巻き取ることで荷台を動かします。
2、瓦の撤去
3、瓦の下の土を撤去
4、下地の確認
土を撤去すると、下に防水シートが出てきますので、それを剥がし、下地の状態を見てみます。
防水シートの下はどうなっているかな(たいていバラ板が使われています)。
屋根の工事は、着工前に週間天気予報を見て、できるだけ晴れ続きの時期に施工したいですね。
5、下地の調整
6、屋根全体に下地を入れ、構造用合板を張る
今回の屋根下地はスレート屋根の下地なので、屋根全体に構造用合板を張ります。
今回の工事の場合、元々の下地(バラ板下地の垂木)が生かせそうなので、垂木(たるき)の上に、さらにタテ桟を打ち付け、それを構造用合板の下地にします。
(このあたりの下地施工は現場の状態によって様々)
3日目。引き続き下地板(構造用合板)を張っていきます。
7、屋根全面にアスファルトルーフィングを貼り、スレート屋根を施工
下地は完成したので、全面にアスファルトルーフィングを貼っていき、スレート屋根を施工します。
今回、屋根を新しくしたので、前の雨どいは使えず(屋根の出や仕上がり高さが違う)、雨どいも新調しました。
8、屋根の完成!できればプラス棟換気
せっかく屋根を葺き替えたのだから、どうせだったら棟換気(むねかんき)をつけたいところ。
棟換気の取付けはおすすめ工事です。
これをつけておくことで、屋根裏が自然に給排気し、屋根裏の環境が大幅に改善されます。
夏場は特に威力を発揮します。
夏場に二階に上がったらムッとする、あの感じがなくなります。
棟換気は自然に湿気や熱気を外に排出します(機械換気ではありません)。
吸気口を取付よう
棟換気の取付工事に付随する工事です。
換気効率を良くするために軒裏に吸気口を取り付けると効果的です。
軒裏部分に穴をあけ、
吸気口を取り付けます。
ここから新鮮な空気が屋根裏に供給され、熱気や湿気が棟換気から排出されます。
これで屋根の葺き替えは完了です。
下からの見あげると屋根がスッキリ軽やかな印象になりました。