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自分でダイレクトフロア(直貼りフロア)を貼ってみよう(後編)

自分でダイレクトフロア(直貼りフロア)を貼ってみよう(後編)

前編では、ダイレクトフトアを貼る際の基礎知識と作業の流れをご紹介しました。
その作業の流れを動画にしてみましたのでご参照ください(別窓で開きます)。

 

このエントリーでは、「ダイレクトフロア」の実際の施工方法を解説しています。

 

墨出し

まずはフロア貼り1列目の位置を決めるための墨打ちをしていきます。
部屋を測って部屋の形を把握し、墨つぼで基準線を打ちます。

この手順は、自分でフローリング(フロア)を貼ってみよう(準備・基礎知識編)で解説しておりますので、そちらをご参照ください。
(フローリングの化粧部分は303ミリであることが多く、ダイレクトフロアの化粧部分は300ミリであることが多いので注意してください)

 

 
マンションによくあるパンチカーペットを剥がし、ボンド跡をこそぎ取って準備OK。
巾木も外しました。

さっそく、その基準線に沿ってダイレクトフロアをカットしていきます。 基準線に沿って貼る一列目ができれば半分以上終わったも同然。
なので1列目は特に丁寧に施工しましょう。
ここが荒仕事になれば全体の工事がガタガタなものになります。

 
 

1列目のフロア貼り


最初のフロアの長さをカットしてから基準線に合わせていきます(青いマル部分)。
1列目の最後のフロアが極端に小さくならないように、最初のダイレクトフロアの長さを決めましょう。

 
 
 
 

カットした際、壁に接する辺の、裏のスポンジを35mmほど取っておきましょう。
後述しますが、周りに際根太(キワネダ)と呼ばれる板を敷くための前準備です。(動画参照)。
 
 
 

丸のこを使って施工する場合は切ってから裏のスポンジを剥がし、手ノコ(普通ののこぎり)を使って 施工する場合にはスポンジを剥がしてから、手ノコを使いましょう。
スポンジが残ったまま手ノコを使うと、切る時にスポンジが引っかかり切りにくいからです。
一枚目のダイレクトフロアの採寸をし、切り墨をつけ、その通りにカットしていきます。
 
 
 
オザネの辺全体が基準線に合うように施工します。ここは妥協せずにしっかり合わせます。
(加工方法は次の「切り墨のつけ方」を参照してください)
オザネを真上から見て、基準線のど真ん中になるように合わせるイメージです。
 
 
 

1枚目ができたら、引き続き2枚目をカットしていきます 。1枚目を置いた状態で次の2枚目を施工していきます。
(ボンドで接着するのは最後の工程です。まずはフロアを部屋に敷き詰めます)
 
 
 
ところで、ダイレクトフロアの施工は面倒な感じがしますが、実際に施工するところは壁に接しているところだけです。

つまり部屋ぐるりのダイレクトフロアだけ施工が必要でその間の部分(右図の白い部分)は、新品のまま連結していくだけです。
また、壁、建具枠に接しているところ(部屋のぐるり)のみ裏のスポンジを35mmほどとります(キワネダ部分)。
また、施工の前に過去記事のフローリング貼り工事の小技あれこれを参照し、予備知識もつけておきましょう。
 
 

切り墨のつけ方

ダイレクトフロアを切っていくには、フロアに切り墨をつけていくことが当然必要です。
以下、その方法といくつかのコツです。
まずは1枚目のダイレクトフロアに切り墨をつけ、切ってみましょう。

 

1枚目を右上端に置いてみましょう(1枚目は必ずここです)。

上図のように、基準線の上に乗る形になります。
そしてすき間もあいていることでしょう。

 

そこで、ここからすき間ができている、という箇所を見つけ、フロアに鉛筆で墨①をつけます。

そしてフロアの端の墨②を床につけます。
ちなみに墨というのは、しるしのことです。

 

フロアを下にズラし、①の墨を床にうつします。

できるだけ平行にズラしてください。

 


フロアをどけて、両端の②③と①の寸法を測ります(点線部分)。
結果、①262ミリ、②266ミリ、③260ミリという寸法でした。

 


オザネの先にさしがねを合わせ、①、③の寸法をつけます。
(オザネの先にさしがねを合わせにくい時は、硬くて厚みのあるまっすぐなものをあてます)
②はオザネにさしがねをあてがえないので、計算で墨の位置を出します。

 

②の墨を計算してみましょう。

そもそもダイレクトフロアは300mm、オザネ3mmを足して303mmです。
そこから採寸した「オザネの先」からの距離266を引くと逆からの寸法が出ます(37mm)

 

後ろから37mmのところに墨をつけます。

これで切り墨がつきました。

 

これらの墨(点)に定規(強くて安いメーター定規を推奨)を合わせ、カッターナイフで切り結びます。

カッターの線に沿ってノコギリ(または丸のこ)でカットします。
現場にあてがい、鉋(かんな)や紙やすりで微調整をし、基準線に合わせます。

これで1枚目ができました。

 

施工上の注意!

手ノコ(通常ののこぎり)で切る場合、DIYチャンネルの基礎知識、「超簡単!のこぎりの使い方」に、のこぎりのコツが載っています。ご参照ください。

丸のこで切る場合、カッターでつけた切り墨に合わせ、カットするだけなのですが、今回のように途中で曲がっている線に合わせて切る場合は注意が必要です。

今回の切り墨は厳密に言うと、逆への字に曲がっています。

丸のこの刃は回転しているので、逆への字に沿う形では回りません。
カーブをさせようとするとキックバックを食らいます!

 

基礎知識、「必見!丸のこ利用に関する注意」に、この辺りの事が記載しております。
ぜひご参照ください。

丸のこの切断軌道を途中で変えようとしないでください。刃は円盤になっていて、それが高速回転しています。
手のこのように力の入れ具合によって刃が曲がってくれるようにはなっていません。
切断軌道を変えようとすることは、高速回転の円盤を曲げようとすることと同じです。
キックバックが起こり大変危険です。

 

 

丸のこでの「逆への字」の切り方

丸のこで「逆への字」部分を切るにはどうすれば良いのでしょう。
下図の、わかりやすく極端に逆への字にしたフロアで説明します。
切り墨をカッターナイフで切りこんだ状態です。

丸のこ定規の作り方は、DIYチャンネル(http://4diych.com)のおすすめ工事、「丸のこ定規を作ってみよう」に記載しております。ご参照ください。

 


丸のこ定規を両端(いちばん寸法の大きなところ)にのみ合わせ、カットします。

 


両端の墨でカットできました。残っている谷の部分は鉋(かんな)を使い、地道に削っていきましょう。

 


これでできあがり!
逆への字の場合、手ノコは曲線にも切れるから、全部、手ノコの方が楽かもですね。
上図のように大きな寸法で両端を切ってから手ノコに変える場合、手ノコの最初の切りかかりが少なくて切りにくくなっちゃいますね

谷が深い場合は、右端の墨から真ん中の墨までは丸のこで切り、左端の墨から真ん中の墨までを手ノコで切る、という手がいいかもです。

 

丸のこでの「への字」の切り方

では、丸のこで「への字」部分を切るにはどうすれば良いのでしょう。
下図の、わかりやすく極端にへの字にしたフロアで説明します。
切り墨をカッターナイフで切りこんだ状態です。

これは簡単!
まずは丸のこ定規を右端と真ん中の墨にのみ定規を合わせ、真ん中を通過し、最後(左端)までカットします。

右端と真ん中の墨、その延長線でカットできました。
次は残っている山の部分を引き続きカットします。

真ん中の墨と左端の墨に定規を合わせ、カットすればできあがり。

 

 

2枚目の施工

1枚目が完成しました(まだまだ接着しません)。
基準線にピッタリ沿っています。
引き続き2枚目を施工していきます。

 

 

2枚目を1枚目に連結させ、壁に押し当てます(この時、1枚目を動かさないように注意)。
上図のようになるので、フロアの長さがここまで、とわかるように墨①を床につけます。

 

 

ここでいったん2枚目をはずします。

 

 


さしがねをあてがい、壁の曲がり始め、曲がり終わり、凹凸のあるところは床に墨をつけます。
壁の曲がり始め、曲がり終わり、凹凸のあるところは床に墨をつけていきます。

一度やってみましょう。

 

 

壁が膨らんでいる場合


上図はわかりやすいよう、極端な例にしています。

さしがねをあてがってみたところ、壁の曲がりが極端なところが見つかりました。
さしがねが接している点(この場合は両端)と、いちばん曲がっているであろうところを床にマーキングします。

 

 

2枚目のフロアを持ってきて、さっきのマーキングをダイレクトフロアにうつします。
このとき、1枚目のフロアに平行になるように組みましょう。
そうすれば基準線とも平行になるはずです。

 

マーキングをうつせたらダイレクトフロアを再びはずします。
2枚目フロアの両端と、マーキング部分の、基準線までの寸法を採寸します。
(寸法は基準線から直角に測って下さい)
サインペンなどで、それぞれ採寸した寸法を床に書いておくと便利です。

 


マーキング上に基準線までの寸法を書き込みます。

 

 


それぞれの交点を、カッターナイフで切りつないで切り墨ができました。
切り墨どおりにカットして、細かいところは鉋(カンナ)と紙やすりで仕上げます。

 

 

壁がへこんでいる場合

今度は逆に曲がっている形の場合を解説します。
今度もわかりやすいよう、極端な例にしています。

まず2枚目を連結させ、壁に押し当てます(この時、1枚目を動かさないように注意)。
上図のようになるのでフロアの長さがここまで、とわかるように墨①を床につけます)

 

まず2枚目をはずし、最初のフロアの先にも墨をつけ、最初のフロアもどけてしまいましょう。

 


2枚目を戻し、位置を合わせ、左右を交互に壁に押し付けてみましょう。
当っているポイントを中心に左右に振れるので、どこが当っているのかよくわかります。
当っているポイントに印をつけましょう。

 


フロアを少しずらし、床にもポイントを書きうつします。

 

 


床のマーキングから基準線まで280でした。
これに合わせ、フロアの方もオザネから280の位置に切り墨をつけます。

 


切り墨を中心に鉋(かんな)で少しひかえめに削ります。
できたらもう一度現場に合わせてみましょう。

 

 


1枚目に連結させ、正しい位置で確認します。
壁に当っているポイントが変わったので、新たに当っているポイントをフロアにつけます。

 


さきほどと同じく、フロアを少しずらし、床にもポイントを書きうつします。
寸法をはかり、切り墨をつけ、それに合わせてなだらかに削っていきます。
あとはそれの繰り返しになります。

削りしろが少ない場合はわざわざマーキングの必要はありません。
その場で鉋(かんな)をあて、合わせていきましょう。

 

 

もう少し簡単に切り墨をつけてみる

極端な例を使い、基本的な合わせ方をご紹介しましたが、施工するフロアが基準線に平行にキープできるならば、もう少し簡単な方法もあります。


上の図は、1枚目が完成しており、2枚目を1枚目のヨコザネに合わせている状態です。
1枚目は基準線に平行ですから、ヨコザネに合わせている2枚目も、幅はあっていないものの、基準線には平行になっています。

 


この状態で、1枚目とのすき間をはかると、12mmでした。
つまり、あと12mm奥へ平行のまま入れると、1枚目とオザネが揃い、基準線にも合う、という事になります。

 

 


そこで、12mmの厚みのベニア板を使い、壁から12mmの切り墨をつけてみましょう。
鉛筆(見にくければサインペンの細い方)をベニア表面につけつつ、ベニアを壁に押しつけながら横へスライドさせましょう。
慣れてくると、カッターナイフとベニア板を一緒にスライドさせ、いきなり現場で切り墨をつけられるようになってきます。
こうすることで壁の凹凸(おうとつ)をフロアの上に再現できました。
しかも12mm厚のベニアでやっているので、この墨がそのまま切り墨になっています。

 


ダイレクトフロアをはずし、切り墨の通りにカットすると壁にピタリと合い、基準線にもピタリと合う2枚目ができました。

 

 

列の最後のフロア加工

今までの施工方法を繰り返し、列の最後まできました(まだノリは塗らないでください)。
列の最後を施工していきます。


まず長さをカットします。さしがねでは届かないのでメジャー(巻き尺)で採寸します。
壁ドンから化粧面(横オザネまでではありません)までをはかります。
はかった結果、503mmと690mmでした。


ダイレクトフロアに採寸した通りの寸法で切り墨をかき入れます。

 


切り墨がついたらカットします。
カッターで切り墨を入れる場合、定規は必要なフロア側へ置きましょう。
また、もし横壁の途中に凹凸(おうとつ)がある場合、今まで通り凹凸を見つけ、採寸し、その通りカットしてください。

 


これで列最後のダイレクトフロアの長さがカットできました。

 

ちなみに、切り墨をカッターナイフでつける意味はふたつあります。
まず切り墨が見えやすい、という事です。鉛筆でつけたしるし(墨)は触っただけで消える場合があったり、薄くて見えない場合があります。
カッターでつけた切り墨はもちろん消えないし、フロアに白く際立つのでわかりやすいのです。
もうひとつは、切断加工の際、縁が切れているので化粧面がハネない、という事です。

よく、フロアを丸のこでカットする時は表面(化粧面)からではなく裏面から、と言われますが、その理由は、裏から切らないと丸のこの刃の回転が、必要な化粧部分も飛ばしてしまうからなのです。
でも、いちいち裏返すのはめんどくさいので、切り墨をカッターナイフで入れておくと、あらかじめ周りと縁が切れているわけですから、必要な部分が飛ばず、問題なく表面(化粧面)から切れる、というわけです。

 

 

先ほどの、長さだけを切ったダイレクトフロアを現場に合わせてみます。

 

部屋の形が狭くなっていっている場合、まだ幅を切っていないので余分な部分が干渉し、隣のフロアに重なってしまう感じになりますが、多少重ねてもかまいません。

この状態で幅も合わせていきます。
基準線と平行になるようイメージし、奥の壁の凹凸(おうとつ)をフロアや床にかき、幅の切り墨をつけていきましょう。
さしがねを壁にあてがうと、壁の凹凸がよくわかります。
凹凸のポイントを床につけていったあと、それをフロアにうつします。
(つけにくい場合は隣のフロアを外します)

 


つけた切り墨通りに仕上げてはめ込みます。
はめこみにくい場合は隣のフロアを外し、あらかじめ一体化(連結)してから現場に持っていくとはめ込みやすいです。

 

 

 

2列目以降のフロア貼り

1列目が完成したので2列目の最初のフロアを見ていきましょう

たいてい1列目最後のダイレクトフロアの切り落としを使うようになりますが、切り落とし部分があまりに少なかったら新たなダイレクトフロアを切ります。
1列目のオザネ(オレンジ色で表示)に連結します。
壁とのすき間がずいぶんあるので加工していきましょう。

 

すき間より厚みのあるベニア板などを壁に押しつけ、鉛筆やサインペンの先と一緒に、壁に沿ってスライドさせ、切り墨をつけましょう。
慣れてくると、カッターナイフとベニア板を一緒にスライドさせ、いきなり現場で切り墨をつけられるようになってきます。
墨通りにカットし、細かいところは鉋(カンナ)で仕上げます。

さしがねの詳しい使い方は過去記事参照:さしがねの使い方(フローリング貼りを例にして解説)

 


端の部分さえできれば、部屋の中央部分(白で表示)は施工なしで連結していくだけです。
端の部分だけ今までと同じく加工していきます。

それをどんどん繰り返していきましょう(ノリはまだ塗りません)。
では、いよいよ最後の一列、「貼り仕舞い」を解説していきます。

 

 

貼り終い(最後の1列)


貼り終い(最後の1列)を加工していきます。
基本的に貼り始めと施工方法は同じなのですが、注意点があります。
貼り始めでは、基準線から壁までの寸法を、オザネからはかってつけていました。
ですが、貼り仕舞いでは列のオザネから壁、ではなく列の化粧から壁までの寸法をはかります。

採寸ができたら、その寸法をメザネからとり、オザネ側は切り飛ばす形になります。
できたフロアは貼り仕舞いの列にはめていきます。

 


ダイレクトフロアはこのようにスポンジ側に折れてくれるので、山折りの状態で持っていき、現場で押さえ、はめこみます。
ダイレクトフロアは山折りにできるので、貼り仕舞いでも簡単に現場にはめていく事ができます。
削っては合わせる、という動きを繰り返し、仕上げていきます。

貼り仕舞い列の2枚目が完成したら、1枚目を外し、外で連結してから現場に持っていくと簡単にはめこむ事ができます。
3枚目4枚目と、完成するごとにいったん全部はずし、外で連結してから現場に合わせるのが簡単です。
(なので貼り仕舞いだけは2人でやるほうが楽です)

 


最後の1枚は、はめ込んではいけません。
これを入れてしまうと、フロアをめくれなくなるからです。
(これから全てのフロアをめくって、ボンドを塗らなくてはいけません)

なので、最後の1枚は、寸法で形を作り、現場に置いて、すき間をにらみながら作っていきます。
現場にあてがい、すき間をにらむと、現状の形で埋め込むことができるかどうかがわかります。
(必ずはめ込めるよう、少し小さめに作るほうが安全です)

 

 


これで全てのフロアの加工が完了しました。
今からダイレクトフロアをはずしていきますが、順番がわからなくならないよう、貼り始めから作ってきた順番に、番号を書いていきます。
上画像のように、養生テープを貼ってから貼る順番がわかるように数字を書きこみましょう。

本当は加工した「部屋のぐるり部分」だけがわかればいいのですが混乱防止のため全てのフロアに数字を書くことを推奨しています。

 


貼り仕舞いのフロアからはずしていき、番号の大きいものが下になるように重ねていきます。
貼ってあった場所から真下に持ってきて重ねていくイメージです。
重なったフロアの一番上は、貼り始めのフロアになるようにします。

 

 

ここでもう一度、このエントリーの最初にあった「ダイレクトフロアを貼ってみよう」という動画をご覧ください。
実際にダイレクトフロアを扱っている動画です。
施工済みのダイレクトフロアをはずしていく場面がありますので参考にしてください。
そのほか、ボンドの塗り方やキワネダの設置なども参考にしていただけると思います。

 

 

ちなみにボンドはホームセンターで売ってます(ハケ付き)

 

ボンドを塗るコツや流れは「自分でダイレクトフロアを貼ってみよう(前編)」で解説してありますので、そちらも参考にしてください。

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