さしがねの使い方(フローリング貼りを例にして解説)

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さしがねの使い方(フローリング貼りを例にして解説)

すべての基本、それがさしがね
さしがねというのは大工の基本的な道具で、これがなければ何ができるだろうと悩んでしまうほど、超重要な大工道具です。
いかにDIYといえど、この「さしがね」だけはどうしても欲しいところです。

 

さしがねを使った練習

では、さしがねを使って、実際に採寸してみましょう。
下図は少しバチった形の部屋で、敷居や柱があって、この基準線に合わせフローリングを貼っていく、という設定です。
さしがねを使ってみよう

 

1枚目が完成したとして、次の2枚目を並べるのは難しそうです。
見るからに難しそう・・
敷居や、いびつな柱に合わせてフローリングをカットしていく必要があります。
自分にはできない、そうお考えの人もでてくるのではないでしょうか。

 

そこで「さしがね」の出番です。
大工さんの相棒、さしがね
このさしがねを使って、すき間なくフローリングを貼っていきましょう。

 

 

実際に切り墨をつけていこう

平行に置くことが最重要!
2枚目のフローリングを加工するため、2枚目を1枚目のフローリングのサネに差し込んでみましょう。
2枚目のフローリングの長手オスザネ(長手のオレンジ色部分)は必ず基準線に平行になるようにします。
この時、2枚目のフローリングは上図のように基準線より100ミリはみ出していました。

2枚目のフローリングはこのまま平行に100ミリ奥へ送りこめれば1枚目と揃います。
つまり、100ミリ分、敷居や柱の形に合わせる必要があります。

 

 

さぁ、さしがねを使って、寸法を出す方法で2枚目を作っていきましょう。
あくまで同じ寸法をつけていく
それぞれすき間のかどかどを測っていき、切り墨をつけていきます。
100ミリ送りこむ必要があるのでそれぞれ壁から100ミリのところに墨(赤く表示)をつけます(クリックで拡大)
1の場所から2の場所にかけて、壁が少し斜めになっていますが、これもそれぞれの場所から100ミリずつ寸法をとることでフローリング上の切り墨にもそれが反映されます。

 

 

基準墨から直角に墨をつける
柱からも同様に100ミリ寸法をとります。
柱が歪んでいますが、さしがねはあくまで基準墨(=フローリングの溝)と並行にします。
墨をつける時は、平行の墨と寸法の墨(X点とY点)でバッテン印になるようにしましょう。採寸した場所を点で示すためです。

 

 

同じ要領で墨をつけていきます
柱の採寸ができたら、ドアのたて枠からも100ミリに墨をつけます。
全て同じ要領です。

 

 

さしがねの直角に留意
ドアの敷居からも100ミリ採寸します。

 

 

敷居に曲がりがないかも見ておきたいところ
最後にフローリングの一番端に最後の墨をつけます。
もちろん敷居からの寸法は100ミリです。
(敷居が曲がっているようなら、曲がっている箇所から100ミリの墨をつけます)

これで全ての墨をフローリングに書き込めました。

 

 

点をつないで切り墨をつけていこう
墨から墨へ、点と点をつないでみましょう。
これが切り墨です。
この時、定規とカッターナイフを使って切り墨をつけておくと、のこぎりや丸のこを使った際、化粧部分が跳ね飛ばずにすみます。

 

 

切り墨に合わせてフローリングをカット

カットして合わせてみる、を繰り返しすき間をなくす
それでは、切り墨に合わせてうまく切ります。
細かい作業では丸のこを使わず、のこぎり、できればキツツキノコや胴付きノコを使って切っていきましょう。
なければ普通の手のこ(のこぎり)でOKです。ただしその場合はカッターナイフで化粧部分との縁を切っておかないと、切断中に化粧部分を引き上げてしまいますのでご注意。
細かいところは鉋(かんな)や紙やすりで合わせていきましょう。

 

 

2枚目ができた
2枚目、上手に貼れました。
この調子でどんどん貼っていきましょう。

さしがねを基準墨(=フローリング)と並行、あるいは直角に持っていくのが難しい、という場合、補助としてもう一本さしがねを使ってみましょう。
簡単に平行、直角が出ます

さしがねが二本あればどんな墨でもたいていつけることができる
フローリングの端っこだけでなく、化粧の3本スジからも並行、直角がとれます(クリックで拡大)。
ちなみに直角の事を大工さんはカネ、と言います。

 

 

さしがねの、ちょっとした応用技

次はさしがねの、もう少し応用をきかせた使い方をみてみましょう。
さしがねを使った応用技
さしがねは、見ての通り直角になっています。
「直角」それを手の中で、寸法と共に扱える、という事は、実は特別な事です。
この直角を活かした使い方をマスターしましょう。
DIYの腕前が上がるたび、さしがねの重要性が上がってくることと思います。

 

たいていの場合、先ほどのように寸法からでも形を拾うことはできますが、さしがねのカネを使う方が簡単な場合があります。
例えば柱が、先ほどの例とは逆の歪みかたをしている場合などがそうです。
柱の部分が難しそう・・
もうパッと見で施工が難しそうです。

 

 

柱の先が当たるから、さしがねを奥の点に直角に持っていけない
柱の出っ張りが当るので、一番入隅の測りたい部分(透明さしがねのところ)が測れません。
出隅・入隅(でずみ・いりずみ)の頂点を測り、結んでいきたいのに・・どうしよう。

 

こんな時のさしがねの使い方

さしがねの腹を使った応用技
まず、上図のようにさしがねを柱の角度にあてがいます。

 

 

化粧面につける墨は、キレイに消せるように軽くつける
その、柱の角度に対して90度、片割れの方に鉛筆で墨をつけます(黄色で表示)
この墨は一時的な印なので軽くつけます(クリックで拡大)。

 

 

この墨があればOK
この墨(黄色)さえあれば、いつでも柱の角度を出す事ができる、という事になるのです。

 

 

その他の部分は今まで通りに墨をつけていく
ひとまず黄色線は置いといて、先の例と同じく、それぞれの出隅入隅の角から100ミリのところに切り墨を入れていきます。
もちろん柱の出隅から100ミリのところにもしっかり切り墨を入れます。

 

 

切り墨がついたら、いったんフローリングを外し、作業台に移ります。
さっきのさしがねの腹につけた墨を利用して角度を出す
黄色の線の角度にさしがねを合わせ、柱の出隅を通過する緑の墨が、柱側面部分の切り墨です。
黄色の角度に合わせさえすれば、左右どちらにでも柱の角度を出す事ができます。

 

 

 

こういった、さしがねを使って採寸、墨つけを大工さんは、「光る(ひかる)」と言います。
元々は丸太や柱などのクセなんかを移すことだったらしいです。

例:「このフローリング、ひかるの難しそうだな-」

 

墨つけがうまくできればしめたものです。丸のこ、手のこを使ってザクザク切っていきましょう。

参考:超簡単のこぎりの使い方

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