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【画像あり】うちの爺サンよもやま話のうちで心に残ったエピソード3選

僕の家系は、私を含め3代大工が続いている。
親父も爺さんも大工なのだから、色んなエピソードが聞けて楽しい。

昔はああだった、こうだったという話が。
もう亡くなったケド、ウチのお爺ちゃんが色んな話をしてくれたのが懐かしい。
微笑ましいものもあればゾッとするようなもののあるけども、その中でハートフル(に感じた)エピソードを3つ選んでみた。

 

初めてドリルを買えた日は涙が出た

爺ちゃんの世代の、ドリルの出始めのころの話を聞いた。
柱や梁など、厚みのある木に穴をあけるための電動ドリルが買えたとき、本当に嬉しかった、涙がでた、と。

その電動ドリルを手に入れるまで、ドリル(キリ)に取っ手をつっこみ、手動でよいしょよいしょとキリを回転させ、穴をあけていたらしい。
下向きに体重をかけつつキリ先を回転をさせていく、というこの動作、実際にやってみたけど想像以上に大変。

穴ひとつあけるのに10分以上かかり、疲労も大変だったそうだ。

そんな祖父がはじめてドリルを買った時、嬉しくて涙がでたんだと。

若かりし頃のじいちゃんを想像すると身につまされる。
当時のドリルは高いもので、すぐに買えるようなものじゃなく、お金をためてためて、やっと手に入れ、その嬉しさに涙が出たと。

そりゃ、今までの生活、仕事様式が一変する買い物だもんなぁ。
苦労も多くて大変な時代だったろうけど、涙が出るほど嬉しい買い物が、僕にあったかな、と思う。

 

棟上げの前の日は眠れない

棟上げ(たてまえ)の前の日、梁や柱、土台、小屋組みなどを加工した場合、人は心配で眠れなくなるらしい。
もちろん爺さんもそうだったみたい。
ほぞ、ほぞ穴、仕口(しぐち)や継手(つぎて)の加工を「刻み」というんだけれど、棟上げ当日にこれらすべてが寸分の狂いなく、図面通りに納まって当たり前、そのプレッチャーはすごいだろうと思う。

そりゃ眠れないよな。僕なんかは新築の配筋検査や金物検査くらいで前日眠れないことがあるのに。
衆目にさらされる棟上げの加工なんか想像するだに胃がキュッとなる。あな恐ろしい。

だからなのか、棟上げでは、わざと一か所、刻みを間違える、というのが粋なんだ、という風習がある。
きっと、刻んだ人の緊張を見るに見かねて、昔の人がそういった風習を作ったんだろうなと想像すると微笑ましい。

「大丈夫、そんな心配すんなよ。棟上げでは一か所くらい間違えるのが粋なんだぜ」みたいな。
それか、刻んだ本人がでっちあげたのが始まりなのかも。どちらにしても微笑ましい(笑)。

今はもうほとんどが機械で刻むんだもんな-。
プレカット屋さんに図面を渡して、ちょろんと打ち合わせして終わり。
時代だな-。

 

金は生き金を使わなあかん

これはいまだに役立つ言葉として重宝している。
教えてくれたのはお金の支払い方のひとつなんだけど、なかなか味わい深い。

爺ちゃんが曰く、たいていのお金の支払いは25日~月末に集中している。
だから、どうせ職人にお金を支払うなら、25日までに払ってあげる、これが上手なお金の支払方なんやで。

同じ支払うにしても、次の月のあたまに支払うのとは全然ありがたみが違う。
少々仕事が残っていても、後の事は信頼して、25日に払ってあげる、これがうまい支払い方法なんだと。

残工事が多い場合、それに応じた支払いを残すとしても、8割方できているなら、25日に8割のお金を振り込んであげるといい。

結局同じお金を支払うにしても、感謝のされ方が違ってくる。
信頼してもらえた、とも思ってもらえる。
みんながいい気持ちになるし、いい仕事にもなりやすいんやで。
困った時にも助けてくれやすくなるしな。

これを聞いてから、できる限り25日までに入金するようにした。
そうすると確かに職人さんに喜ばれ大事にされる。

 

まとめ

ウチの爺ちゃんに限らず、昔の職人さんの話は趣があるので聞いていて楽しい。
今回のエントリーはハートフルなものだったけど、色々と楽しい話も多い。

でも、実際に文字に書き起こしてみると、面白さが全然なくなるので困ったなと思う。
youtubeに口頭で伝えたいくらいだなーと思う。

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